配当利回り
配当関連の指標を企業分析に活かす方法を説明していきます。
配当利回りとは「配当金を株価で割って算出した数値」のことで、投資金額に対して企業からの還元率をみる指標となります。
とりあえず、算式を示しておきます。
配当利回り=1株あたりの配当金/株価
冒頭で述べた通り、これは還元率を示している指標です。
一般投資家にとって、配当金は企業に投資する意味といっても過言ではありません。当たり前のことですが、株主は投資した分以上の見返りが欲しいのです。
ただ、企業の実力を見るという意味では、もう少し違う見方も必要になってきます。配当金を出さない企業にはどんな理由があるか考えてみてみましょう。
@業績が悪く利益が出ていないため、配当を出す資金がない
A成長企業のため、配当よりも自己投資を優先している
多くはこのどちらかに当てはまるでしょう。もし狙っている銘柄の配当利回りが少ないなら、上記2点どちらに当てはまりそうかという視点でみていくと良いです。
一つ付け加えておくと、ここで言う「利益が出ている、出ていない」という概念は、主観的なものではなく株価を基準にしているということに注意して下さい。
例えば、ある企業が去年1億円利益を出して業績が良いと評価されて、今年1億2000万円利益を出しても、市場が今年は2億出すと期待していれば利益が出ていないという評価になります。
つまり、利回りが少ないというのは、主観的なものではなく株価から見た場合に少ないということです。
配当利回りの大きさは、企業の実力を見る上で重要な指標となります。
配当性向
さて、ここで皆さんに1つ問いを投げかけます。配当金は多ければ多い方がいいのでしょうか?
素直に答えればYESです。ただし、無理をしていないことが前提になります。
配当金というのは、会社の利益の中から支払われます。
そして、残った利益というのは、資本の一部を形成するものになります。理論上は、資本というのは私たちが持っている株式の価値に連動します。
つまり、理論上は会社が配当金を支払うことで、企業価値(≒株価)は下がるわけです。
実際に、配当金の権利確定日の次の日は権利落ち日といって、配当分だけ株価が下落する現象が起きます。
そのため、多ければ良いというものではなくて利益に応じた適切な水準が望ましいのです。
では、適切な水準って何でしょうか?
それを確認することができる指標が配当性向です。さっそく算式をチェックしてみましょう。
配当性向=1株あたりの配当金/1株あたりの利益
これは利益に対して配当金の割合を見ていると説明できます。利益が出てないのに、高い配当金を払えば配当性向は高くなります。
つまり、配当性向が高いということは無理な配当金を支払っている可能性があるのです。
逆に、これが低いということは企業として余裕を持っていると言えます。
もちろん設備投資や資本増強等の正当な理由があれば問題ありませんが、株主を軽視している会社の可能性もあるのでしっかりと見極める必要があります。
一般的に、30%前後を目安にしている会社が多いようです。
配当利回りと配当性向、2つを組み合わせると企業の実力や投資家への姿勢等、様々な情報を読み取ることができます。
お疲れ様でした!
以上で、配当利回りと配当性向の説明を終わります。
もっとファンダメンタル分析を知りたい方はこちらをご覧下さい。